この世の最上のわざは何?
楽しい心で年をとり、
働きたいけれども休み、
しゃべりたいけれども黙り、
失望しそうなときに希望し、
従順に、平静に、おのれの十字架をになう。
若者が元気いっぱいで神の道を歩むのを見ても、ねたまず、
人のために働くよりも、
謙虚に人の世話になり、
弱って、もはや人のために役だたずとも、
親切で柔和であること。
老いの重荷は神の賜物、
古びた心に、これで最後のみがきをかける。
まことのふるさとへ行くために。
おのれをこの世につなぐくさりを少しずつはずしていくのは、
真にえらい仕事。
こうして何もできなくなれば、
それを謙虚に承諾するのだ。
神は最後にいちばんよい仕事を残してくださる。
それは祈りだ。
手は何もできない。
けれども最後まで合掌できる。
愛するすべての人のうえに、神の恵みを求めるために。
すべてをなし終えたら、
臨終の床に神の声をきくだろう。
「来よ、わが友よ、われなんじを見捨てじ」と。
ヘルマン・ホルベルスの「人生の秋より」
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昨夜は友人3人とナイトショーに出かけた
「ツナグ」を鑑賞
ネタバレになるので、詳しくは書かないが
生者と死者の心をつなぐストーリである。
その中でつなぐ役目を担っている
樹木希林が時々自分に語りかける言葉が
「最上のわざ」
「ツナグ」のストーリの中で
この詩の意味するものは
つなぐ役目を担う祖母役が
老いてゆく自らに常に諭す意味合いがあるのだろう。
「ツナグ」を通して人の死を、定めを意識せずには
いられないからに違いない。
老いて死ぬるは当然の理
だが、若くても死ぬことがある。
不条理ではあるが、死はそうして
そっと人の傍に隠れてあるものなのだ。
人はいつか死ぬ。
悔いがないように生き
心残りがないように過ごす。
亡くなった人と生きている人を「つなぐ」
そんなことは本来存在しないからこそ
この「ツナグ」は我々に語りかける
「命≒生き方」のメッセージなのだろうと私は感じた。
だからこそ「最上のわざ」の詩が心を打つ。
アクションは無いが、心にそっと残る作品である。
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